旅の写真のこと  鈴木聡子

Sani Pass ( Lesotho )

太陽の光が強く、朝は雲も地面も花も真っ赤に染まっていく。
空気が温まってくると下から雲がもくもく上に向かって伸びてくる様は、まるで生きているかのよう。
空気はひんやり冷たく、風の音と羊の声だけしか聞こえない。
何も無いけど、2人とも大のお気に入りの場所。

Ait Ben Haddou ( Morocco )

映画のロケ地としても使われたのも納得いくほど絵になるカスバ(要塞)。
ここの一番上から見ると、周りはだだっ広い荒野。
川が流れ、オアシスがたまにあり、羊や牛が移動してる。
ぽつりとダンナが「ゲームの中にいるみたい」と言った言葉が妙にしっくりきて笑った。

Salar de Uyuni ( Bolivia )

日が暮れると氷水のように冷たくなる湖。
すましたポーズをとっている様に見えて、実は足がちぎれそうになる程寒くて震えてます。

Easter Island ( Chile )

寝袋をもって、モアイの前で一晩野宿をした。
野馬がこの島には多く、夜中パカラッパカラッと足音が近づいてくると踏まれるんじゃないかと2人でドキドキしながら夜を明かした。

Sani Pass ( Lesotho )

ダイヤモンドやイケメンヒツジ飼いに心奪われかけたけれど、やっぱりここサニパスは、景色が一番好きだった。
「雲の中の王国」と誇らしげにプリントされたレソト土産たちも、言い過ぎでは無いぞと心の底から思う。

Salar de Uyuni ( Bolivia )

塩の地面は直径30cm程の大きな六角形が連なっている。
裸足で歩くとゴツゴツ当たってイタイけど、昼間の塩水は温かく気持ちがいいので、つい裸足で歩きたくなる。
ここの塩はミネラルたっぷりといわれているので試しに食べてみたら日本のものより少しマイルド。
おにぎりに使ったら美味しそうだった。

Jamaa el Fna ( Morocco )

夜この広場を歩くと、5mごとに客引きにあう。
「ミヤサコデス!」「ゲッツ!」と片言のギャグを言って気を引いてきたり、
ダンナは頭に猿をのせられたり、ヨメは路上でダンスを踊らされたりする。
とにかく喜怒哀楽をぎゅぎゅっと詰め込んだ、毎晩がお祭り騒ぎの活気ある場所。

Salar de Uyuni ( Bolivia )

この景色は特別。キレイ、壮大の言葉だけでは収まりきらない。
私達だけではなく、誰もが言葉を無くして涙する。
ヨメは、いつかお婆さんになった時もう一度2人でここへ来て夕日を眺めたいと密かに計画中。

Easter Island ( Chile )

モアイは島の至る所にあって、そこの不思議な絶景を見ながら遺跡を巡るのは、それはそれは気持ちいい。
しかも気候が暑くも寒くもなく最高!
この島が人気なのはモアイだけじゃない。

Sahara ( Morocco )

昼間はヤケドしそうな強い日差しと乾燥した空気。
夜は身体が芯から冷えてくる。
ここでの撮影は旅の中で一番厳しかった。
私は寒さで凍え、ダンナは暑さで熱に倒れた。
こんな環境に産まれたときから住んでる砂漠の民はどれだけ強靭な身体なんだろうかと思う。

Zanzibar ( Tanzania )

この島で良く見かける木造の帆船「ダウ船」は釘からロープまで、すべて手作りなのだそう。
網は高価なので何度も何度も手で編み直しているとのこと。
ダンナと友達になった若い漁師のジェフ。
幼い頃から漁をしていて、いつかキャプテンになって自分の船を持つのが夢だと目を輝かせながら話してくれた。

Portugal ( Capela do Senhor da Pedro )

ポルトの街から電車で30分ほどの海岸に立つ小さな礼拝堂。
宿のオーナーにすすめられてふらっと来てみた。
昼間はなんてことない海岸だけれど、日が落ちるとともに浮かび上がるシンメトリーの姿は圧巻で言葉を失った。
犬の散歩をしている人、観光に来ている人、皆がその場に立ち尽くしていた。
その後何度か見に来たけれど、同じ景色には出会えなかった。

Slovenia ( The Lake Bled )

アルプス山脈のふもとの氷河湖。
朝日を見るために軽く遭難しながら、暗闇のなか山に登った。
真冬のアルプスの朝は氷点下が続いてとにかく寒い。
いつのまにか服や機材全てに霜が降り、淹れたてのコーヒーが5分で凍りついた。

Easter Island ( Chile )

一番近い有人の島まで2000km離れている孤島。
私たちの訪れた4月は最高にすごしやすい時期で、それはそれは気持ちがよかった。
昼はパンくずで魚をつり、たき火で料理を作り、夜は満天の星空を見ながらモアイの前で犬とともに野宿をしてみた。
なんともサバイバルな島の生活が楽しくて、二人ともずっと浮かれっぱなし。
私の南米のお気に入り場所。

Spain ( Sun Flower )

南スペインのひまわり畑。
夏のひまわりを探してレンタカーで数日間。
よいロケーションが見つからずフラフラしていたら、地元の人に怒られたり、
迷ったり、畑の真ん中で一晩すごしたりとなかなか苦労した。
それでも走行距離1200kmのレンタカーの旅はとにかくおもしろく、
いつかまた行こうと二人で話している。

Ethiopia ( The Simien Mountain )

4000m級の山々が立ち並び、アフリカの屋根と呼ばれている国立公園。
この山を3日間歩くトレッキングツアーに参加した。
標高が高いので少しの坂道でもゼィゼィ辛い。
それでもガイドさんの休憩がうまいのか1日7時間も歩けてしまう。
ラストは4000mの崖から見る景色。
眼下にはどこまでも続く山々、点々と村が散らばっていて、そこを雲の光のカーテンが差し込む。
壮大でとにかく素晴らしい眺めだった。
行くのはつらいけどここに来る価値はあった。

Kibish(Ethiopia)

写真家のヨシダナギさんと一緒にスリ族に会いに行った。
私達が行くと皆がこぞって着飾りだす。
色の土を顔に塗り、野原で木ノ実や草や花を自分達で組み合わせて頭につける。
そして、「photo!photo!」と撮影してもらう為に猛烈な自分アピール合戦が始まる。
元々大人だけでお祭りの時にこの格好になるらしい。
子供もそれを真似しているうちに写真家の人たちが撮影するようになったとか。
撮影中は皆真剣にポーズをつけてプロの顔。
日が暮れて撮影が終わると飾りは投げ捨て、家に帰る。
その後ろ姿はいっぱしの働く人の姿だった。

Kala Patthar Summit(Nepal)

真冬の満月に照らされたエベレスト。標高5500m。
ダンナ一人で夜の撮影に出発した。
月に照らされた景色は圧巻だったが、寒さがさらに圧巻だったらしい。
カメラはすぐに冷たくなり、素手では掴めない。
バッテリーもすぐになくなるのでカイロを巻き付け、ダンナ自身もありったけの服を着てきたが、
体は芯から冷えてくるし、高山だから息もすぐに上がってくる。
それでもふと見ると、美しいエベレスト。
誰もいない、風もない中、聞こえてくるのはパラパラ遠くで雪崩が起きている音だけ。
怖さはなく、ただただ見とれたらしい。

Hechingen(Germany)

雲海に包まれた中世の城。
一年に数回しかこの景色は見ることができない。
夜が明けると共に雲が大地全てを埋め尽くして、あっという間に雲海になった。
実は4年越しでこの景色を追い続けている。
今回もいつ出るかわからないので冬の山の中、ブルブル震えながら何日も張り込んで地元の人に不審がられたり、
地元のTV局に“雲海撮るために日本人がこんなとこまできてるよ⁈”と
笑いと驚きで撮影されたりしていた。
そんな中見ることができた城の雲海。
居座ったかいはあった景色です。

Glacier(Argentina)

青く輝く巨大な氷河は琵琶湖の2倍の大きさがある。
その上をアイゼンを履いてザクザク歩くのだけど、小川ができていたり氷窟ができていたり想像より生きている感じがあった。
そして、クレパスに溜まっている水が息を呑むほど青い。
自然の神秘を物語る、透き通るような氷河の青さだと思った。
たまに下から空気が「ポコポコ」と湧き上がってくるのにまたテンションがあがる。
氷河を歩いた後は氷河の氷でウイスキーを飲むことができる。
氷河、キレイだしオイシイです。

Schwangan(Germany)

初めてのドイツ。
シンデレラ城のモデルとなったお城を少しでも長く見ようということで城が見える丘の上で一晩明かすことにした。
まだ朝晩は寒い春先。震えながら夜が明けると、堂々とそびえる城とその背に広がるアルプス山脈。
見下ろせばキミドリ色の草原が広がり、牛のベルが遠くから響いて聞こえる。
絵本の世界が目の前に広がっていつまでも見飽きないヨーロッパらしい景色にやっぱりいいな、と憧れます。

Thokla(Nepal)

1月の真冬。エベレスト街道を12日間かけて登ってきた。
真冬はオフシーズンの為ほとんど人がおらず歩きやすい。
絶景も独り占めだし、夜も静かに眠ることができる。
4000mで森林限界に入り風景が一変して、4500mを過ぎると驚くほどの絶景に出会える。
また歩く途中にある村の生活を見たり、土地の食べ物を食べたり、ヤクに威嚇されたり。
このトレッキングはゴールだけではなく、むしろその道中が一番の見所だと思う。
山登りほぼ初心者の私ですら登ることができたので、誰でも気軽に行くことができます。

Caohagan(Philippines)

何もなくても幸せな島。
そう呼ばれているところがフィリピンにあるということを聞き、三日後には旅立っていた。
人口600人ほどの小さい島は、確かに皆が幸せそうに笑っている。
生活用水は雨水を使い、電気もほぼない。
食事時になるとゾロゾロ人が海に現れご飯となる魚などを捕まえにくる。
お金はほとんどない。けど、沢山魚が手に入れば皆に配り、お酒を買えば皆で飲む。
お金がなくても今幸せだよ。そう堂々と答えてくれる。
今、そんなことを笑顔で言ってくれる人達ってどれだけいるんだろうと気づかされる。
ここにお金はないけど、私達に今足りないものは沢山ある。
ちょっと日常に疲れたなあと思ったとき時訪れるときっと心が軽くなる島です。

Cape town(South Africa)

南アフリカ。ケープタウン。
その名前だけで危険だと思いビクビクしていた始めの頃。
いざ過ごすと、大自然と都会とが混ざり合ういい土地だということがよく分かる。
不自由ない都会に、新鮮な海の幸があり、大きな山もあり、少し町から離れると
ダチョウやペンギンもいるという一大テーマパークのような楽しさだった。
その裏にはキレイな白人居住区があったり、仕事がないという黒人の人たちがいたりと問題もある。
日本では感じられない常識がここにはあり、大自然のなか過ごしている人と動物の力強い生きる力を感じられる場所だった。



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